【第18回】 説明の3要素(重要、対比、模式)
こんにちは。
今回は、授業における「説明」のスキルをお話していきたいと思います。
1.まずはじめに
説明 2:8 演習
これは以前の講義で取り上げた、「説明」と「演習」のそれぞれに割く、理想的な時間配分です。
4分間導入説明したら、その類題は16分やらせるべきであり、
簡潔に言えば 成績を上げる授業=「演習中心の授業」 になるのです。
導入説明に非常に時間を費やす講師を、これまで何人か見てきましたが
その講師たちは “ていねいな説明の勘違い” をしています。
説明をていねいにすればするほど生徒の理解(学力)は高まると勘違いしているのです。
説明時間と学力は途中までは比例しますが、その比例関係は続きません。
→銅を燃焼させた時の、化合物の質量の変化のグラフと同じです。
少なすぎる説明は逆に良くないですが
ていねいにじっくり説明し過ぎると、その当該生徒に付きっきりになり
他生徒のムダ待ち時間が長くなる(=授業効率が下がる) という別の欠点もあります。
説明は、要点を入れて(的を絞って)、演習時の注意点を盛り込めばOKです!!
2.説明の3要素
さて、ここからは今回のテーマになっている3要素を具体的に見ていきます▼
①重要
理科のがっつり説明と呼んでいる左の解説ページの説明(まるごと1ページ)で考えてみましょう。
重要用語は太字になっていたり色が変わっていたりしますが
大事な部分(用語や文章)に必ずアンダーラインを引かせます。
線を引く理由は、大事なところを生徒に把握させるためです。(講師が引いてもOK)
※生徒によっては生徒自身に引かせることで、眠気防止・聞き流し防止になります。
②対比
例えば、英語の問題演習の中で
【問】 Speaking English is ( ). [空欄補充問題]
英語を話すことは楽しいです。
上記の( )に誤って、enjoyを入れてしまったとします。
その際、正解は fun だということをただ指摘するのではなく、
enjoy・・・〔動〕~を楽しむ fun・・・〔形〕楽しい
のような対比説明を行うと、生徒はもやもや感が消え、理解が深まります。
対比説明は、他にもさまざまなケースで使えます。
導入説明時より、問題演習における誤答フォロー時の方がよく使います。
③模式
「模式」という言葉は聞き慣れませんが、「模式図」という言葉はよく聞きます。
分かりづらい文言を言い換えて、
分かりやすい図や式に直して生徒に説明する ということです。
例えば、中1数学の「不等号の使い方」を説明するときに
ワークの例題欄には、いろいろ文言が書いてありますが
小<大 小≦大 ←まずは、開いている方が大きいことを示す
~以上、~以下 ≦、≧
←種類の使い分け
~より大きい、~より小さい <、>
||
未満 ←イコール(=)で同義事項を示す
このような形で説明を行うのです。
そして次に必ず、例題を2~3問扱ってください。
ここで、数学の導入説明の非常に大事な説明スキルがあります↓
それは、例題の字面をただ追うのではなく、 別の紙に解答手順を示します。
ワークには途中式から解答まで書いてありますが
目で追うのではなく、極力、改めて別の紙に講師がやって見せます!!
字面を赤ペンの先で流して読んだ方がとても楽ですが、
面倒でもこの作業を行ってください。(計算分野であれば、どの問題にも言えます)
↑
その後の類題演習で、やはり差が出ます。
紙に解答手順をやって見せた方が、生徒はスムーズに演習が進みます。
さて、話を戻して、説明の要素 ③「模式」 ですが、
数学ではない科目でも + - = の記号を使うと効果的です。
例えば、中和の文言を簡潔に式にした
酸+アルカリ→水+塩 これもその1つです。
数学で使える例を1つ挙げると、グラフの交点を求める問題で
y=2x-3 この連立方程式の計算のしかた
y=-x+5
y=[ ]
y=[ ] → [ ]=[ ]の形にする!
本当ならば[ ]は長い四角が囲みますが、
y= で揃っている場合は、右辺=右辺 の形が作れることを見やすくしているのです。
他にも例を挙げて分かりやすく図示したかったところ、紙面の性質上それができず残念ですが
このように生徒がインプットしやすい形に変えながら説明をするとbetterです!!
ということで、今回は説明の3要素というテーマで展開してきました。
第4回の講義で取り上げた 『導入説明の単純化』 と
今回の3つの要素をおさえた上で、ケースに応じたスキルで説明を行うことが大切です。
◆次回(第19回)のテーマ 〝ベルトコンベア〟
綾瀬寺尾教室 ℡0467-79-1253
教室長 伊波(いなみ)