「丸つけ」を熱く語る!!
解答と赤ペンさえあれば、その辺を歩いているおじさんでも出来る「丸つけ」。
とはいっても、プロの塾講師による丸つけは技術が全然違います。
まず丸つけの前に、生徒に答えをワークに書かせるか、ノートに書かせるか
そこから考えていきたいと思います。
新人講師からも何度か聞かれましたが、『直接ワークに書かせる』べきです!!
その理由は、ノートに書かせると確かに何度も繰り返し演習できる利点はありますが
それ以上に「効率が悪い」からです。
(1) (2)・・・と問題番号を書く作業や、英語の適語補充問題では、意外に時間をロスします。
また、関数分野や図形分野における、書き込んで考える問題では非常に不便です。
ワークに直接書かせると 『効率性が上がる』 のもそうですが
誤答しても正答したら○をつけてあげることで、最終的にページ全体が○で埋まり
『やった感』(=たくさん問題を解いた達成感)が残ります。
ノートに書かせると、ワークはきれいな状態のままです。
ワークの中で生徒が 『やった感』 を感じることが大事だと思います。
さて、基本的な丸つけの仕方ですが、
テスト実施中ではなく通常の問題演習時には、1ページ以上溜めないことが鉄則です。
解いた問題は、なるべく早く丸つけをしてあげるべきです。
他生徒への対応で、すぐに追いかけて丸つけが出来ない場合はありますが
丸付けが済んでいない問題を、多くても1ページ以内にとどめるを心がけてください。
英語(特に文法問題)と数学に関しては
導入説明後における類題演習時のはじめの1~2問はすぐに丸つけをしてあげることが大切です。 →第7回(正答フィードバック)参照
習ったばかりの問題の演習では、間違ったやり方で次々と解き進めてしまう危険があります。
解き始めの問題の正答フィードバックは極力行って下さい。
英語は解答を持たずに○をつける!
英語は原則的に、解答なしで丸つけをします。
文法問題や熟語・単語問題は、生徒が書いた解答を見れば正答・誤答の判断はすぐにできます。
(ただし読解問題に関しては解答を見て丸つけをする)
プロ講師であれば、正誤判断がすぐに出来なくてはいけません。
英語に関しては、解答を見ながら照らし合わせる丸つけは、実は逆に非効率です!!
英語の丸つけは、同時に「スペルチェック」も入ってきます。
生徒の解答を見て丸つけを行うことで、スペルチェックにより気を遣う効果もあります。
説明 2:8 演習
↑さて、これは第2回の講義で示した理想の時間配分です。
この「演習8割」の中には、未正答問題の解説時間も含まれます。
問題演習をガンガン解かせて未正答問題をフォローする中で、学力がついていくのです。
次に、問題演習時の実践的なテクニックをお話します。
それでは生徒が問題演習をしている状況を想定してください↓
●計算ミスや、本当は分かっていたうっかりミス(=ケアレスミス)があった。
⇒この場合、もう1度生徒自身に考えさせるという対処をとります。
●とりあえず何らかの答えを書いて間違えた もしくは 手が止まってしまう問題があった。
⇒この場合、講師のフォローが必要になります。
該当問題を2つのケースに分類して考えてみると・・・
【ケース1】
以前解いたことがあるパターンの問題や既に教えた単語や用語を答える問題
→このケースでは、「ヒントを与える」対処をとります。
覚えた知識を活用する応用問題においても同様に、ヒントを与えます。
留意点として [既に教えた単語や用語を答える問題] では
なるべく生徒に調べさせることが大切です。
調べさせるという能動的な作業をさせることで、より身につきやすいですし
より他生徒への対応ができるようになります。
ヒントの与え方はいくつかあります(途中まで解いてみる、頭文字を与える等)が、
計算問題では 「即興類題」 を使います!
第7回の講義で、導入説明時の「即興類題」についてお話しましたが
計算問題の演習時に、解き方を忘れてしまった場合には、その「即興類題」を与えてください。
例えば、2次方程式の演習中、 (x-3)(x+5)=0 のような問題は解けるけれども
(3x-2)(x+7)=0 ←この問題で手が止まったとします。
その場合は、(5x-3)(2x+1)=0 のような、解が分数になるパターンの類題をつくり
講師が正答までの過程を示します!!
このようにして「即興類題」を提示した後、
実際の未正答問題を生徒に同じように解いてもらうのです。
英語の文法問題を考えてみると、例えば並べ替え問題において
「be動詞が入っている文の疑問文は、be動詞が先頭!」と答えに近いことを与えます。
正しい答えに誘導することによってそのパターンを身につけさせるのです。
【ケース2】
今までの説明で扱わなかった用語の問題や、解き方を教えてもらっていない問題
→このケースでは「答えを教える」対処になります。
答えを教えるというとタブーに思われがちです。原則的には答えを教えてはいけませんが
習っていない知識問題などでは正答を伝えて、その場で新しく覚えさせることもあります。
ただし、数学ではケース2であっても『即興類題』の提示後に解かせることが多々あります。
ケース2(=教えていない問題)を除けば
丸つけの腕の見せ所は、まだ○がついていない「未正答問題」における正答への導き方です。
その際 「生徒自身に考えさせる」 ことが最優先になります。
最低でも30秒以上は考えさせ、応用問題では5分以上考えさせるケースもあります。
それでもなお、自力で正答を出すには限界がある場合には
その該当問題の特性に応じて正答にうまく導いてあげることが非常に大切なのです。
◆次回(第12回)のテーマ 〝逆算して授業をつくる〟
綾瀬寺尾教室 ℡0467-79-1253
教室長 伊波(いなみ)