【最終回】 いろいろな授業法
ついに最終回となりました。
最後には まとめ を話す関係で、早速今日のテーマに入っていきたいと思います。
今から、成績を上げていくために取り入れている授業法を3つ紹介します▼
◆1コマ1単元型授業
この時期、中2の数学では図形の証明を学習中です。
「二等辺三角形」
「直角三角形」
のように、1つの授業で1単元と決めて授業を行うことです。
その授業で身につけたい目的がはっきりしますし、宿題も決めやすいです。
もし、その日の授業が「二等辺三角形」を扱うとしたら、
次単元(二等辺三角形であれば、次は直角三角形)には絶対に進まないようにします。
二等辺三角形の続きから始めて、直角三角形の途中で終わるような授業では
双方の単元の理解が中途半端になって良くありません。
ただ、必ずしも 「二等辺三角形」 を1つの授業時間すべてで扱う訳ではなく
他生徒への対応の兼ね合いで前の単元の復習も少し行います。
*第8回講義「時間調整用ページ」 参照
つまり 授業の核(このケースでは二等辺三角形)を持った授業 になります。
英語ならば、1コマに教科書の2ページ分を進めるのが原則で
時間内に2ページ分(ワーク見開き4ページ)が終わっても、次には進まないようにします。
◆単元合格型授業
中3理科の化学分野を例に挙げると
①水溶液とイオン ②化学変化と電池 ③酸、アルカリ
この3つの小単元に分かれます↑
さて、これらの単元を1コマずつ行うこともできますが、
=「1コマ1単元型」
単元合格型の授業とは・・・
1つずつ単元を理解しないと次の単元には進めないというものです。
具体的には、毎回最後に小テストを実施し
100点を取らないと、次の授業もこの単元を学習することになります。
小テスト100点という合格基準はあくまで一例で、
持論では合格基準を明確に作る必要も、生徒にもフィードバックする必要もないと思っているので
小テストを実施しなくても、講師自身の判断で合格といえる場合は次の単元に進む
というやり方を実際はとっています。
◆先回り解説
使う場面は、以前取り上げました理科の「がっつり説明」になりますが
*第15回講義 参照
がっつり説明にその後に行う演習問題で答えを要求させられる事柄をもれなく盛り込む
という手法です。
解説ページに書いていない事柄が問題で聞かれることが随所にありますので
それらを説明の段階で先に伝えます。
先回り解説をすることで、問題演習で生徒は「聞いてないよー」ということろを防止できますが
その分説明が長くなるという短所もあります。
先回り解説をするのか、該当問題にあたったときに初めて教えるのか
どちらの手法をとるかは、他生徒との兼ね合いで臨機応変です。授業さばきの1つだと思います。
ただ成績階層の生徒には、理科だけでなく他科目の説明でも
この『先回り解説』をとることをおすすめします。
成績の上げていくプロセスになるのは次の2点です▼
①相当数の問題経験 ②誤答箇所の上書き
つまり、たくさんの問題をこなしながら、
間違った問題をもれなく解きなおしや解説を行うのを続けていくことです。
1度間違ったものを再度間違える場合もあります。
複数回の誤答の上書き作業を通して、暗記科目であれば知識の上書き作業を通して
力はついていくのです。
ところで、この授業論で取り上げてきた授業法としては、さらに以下の3つがありました。
せっかくなので振り返ります▼
①ジェット気流授業 ②停滞前線授業 ③A→B→C→総まとめ(ABC)
× × ◎
この①②は、第9回講義で取り上げましたが〝悪い授業〟の例です。
①②に関しては模範授業ではないですから、ご注意下さい。
③は第13回で取り上げ、1コマの中で最大限に身につけさせるための授業法として紹介しました。
〈終わりに〉
ということで、20回にわたってお話してきました『成績を上げる授業論』
これで終了となります。
今まで多くの生徒の生徒の成績を上げてきた自分自身が持っている授業理論の
およそ90% はお伝えできたと思っています。
隠そうか悩んだ 『期待正答率70%』 のスキルも第10回目の講義で取り上げています。
ただ、残りの約10%は秘密にさせてください!!
また、非常に堅い文章で進めてきましたが、その理由としては
大学で講義をする事に以前から憧れていたからです。自己満足ですみません。
生徒の成績を上げていくためには「理論」があるということ
そして
塾講師の質(教務力)=知識量×説明力×問題提供力
という持論の中で、「知識量」や「説明力」は教務研修で鍛錬できるのに対し
教務研修では身につきにくい「問題提供力」を大きく取り上げてきました。
この問題提供力が生徒の学力の伸びを大きく左右するということ
も皆さんへ最後に提唱したいと思います。
他塾であっても、できるだけ多くの生徒の成績が上がることが本望です。
それもあって、外部にも公開してきました。
プロ講師・大学生の講師・・・、個別形態で授業をしている講師の方々には
生徒のために、このような授業理論に基づいた授業を行って頂くことを願っています。
皆様、ご愛読頂きありがとうございました。
『成績を上げる授業論』
執筆責任者 伊波 潤